天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「な、な、なぜだ?……体が動かない……」

足が震え、全身が硬直した。

すべての獣人が、動きを止めた。

男はフッと笑うと、十字架のような剣を、天に向けて突き上げた。

その先に、輝くものを示し、こう言い放った。


「太陽が、ほしいか?」





ロストアイランドを後にした僕の頭に、一瞬にして、世界中の魔物の息吹きと、襲われる人の恐怖する姿が、浮かんできた。

魔界の入り口に集まる防衛軍の動きも。

一応持ってきたブラックカードと、ノーマルカードにメールが、飛び込んできた。

魔界に集まれと。

早急に、そちらに向かわなければいけないが………

魔王の配下ではない魔物達が、防衛軍の隙をついて、手薄になった町や村を襲っていた。

(すべての戦士が、向かった訳ではないが…)

世界中で、混乱は始まろうとしていた。

(一個一個…片付けるか?)

魔界にいくのは、遅れるが、人々を見捨てるわけにはいかない。

だけど、魔界の入り口に、何か異様な雰囲気を持つものの存在を感じていた。

(魔物でもなく…人でもない…異質なものが…数体!?)

僕は悩んだが、人々を救うことを優先することにした。


(アルテミアの気も感じる!)

襲われそうな町に向かう途中、僕は突然感じたアルテミアの気配に、空中で制止した。

(日本か!)

まだ南半球にいる僕からは、大分離れている。

(……アルテミア…)

今すぐ会いたいという思いと……会ったらどうなるという躊躇いが、僕の心を締め付けた。

会わなければならない。

それは、必然だった。

しかし、今すぐではない。

僕は、我慢することにした。

(まず…僕がやることは…)

踵を返し、戦う力のない者を救う為に、移動しょうとした僕の脳裏に、

声が響いた。



(赤星浩一!あなたに頼みがあります)

それは、久しぶりに聞くティアナの声だった。

僕は、両手につけたチェンジ・ザ・ハートを見つめた。


「ティアナさん?」



ティアナの頼み……それは、驚くべきものだった。

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