天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
輪廻
「リンネ様」

ツインテールのアイリと、ポニーテールのユウリ。 

二人の魔物は、リンネの前に跪いた。

過疎化が進む…都会から離れた農村の廃校に、リンネはいた。

田んぼが広がる風景を、リンネは気に入っていた。

都会の空虚な建造物は、魔神であるリンネには、滑稽に見えた。

窓にたたずみ、誰もいないグラウンドを眺めていた。

アイリとユウリは、そんなリンネに頭を下げながら、言葉を続けた。

「例の者を連れて来ました」

「へえ〜」

跪くアイリとユウリの間を、ふてぶてしく腕を組ながら、沙知絵が教室の中に、入ってきた。

「あんたが、騎士団長?」

口元に笑みを浮かべながら、教室内を見回し、

「フン。その割りには、寂びれたところにいるじゃない?」

「貴様!」

ユウリが立ち上がった。

「リンネ様に、無礼であろう」

沙知絵は、ユウリを無視して、

「その気になれば…この世界の殆んどを、破壊できる程の…神の力を持つ者の考えを、知りたいだけよ」

沙知絵は笑みをやめ、窓にたたずむリンネを、軽く睨むように見た。

その気になれば、自分などすぐに殺せることを、沙知絵は理解していた。

だからこそ、怯えるではなく、強きの態度を取った。

それに、リンネが呼んだのだ。用がすむまで、自分を殺すことは、ないだろうと考えていた。

「貴様!」

襲い掛かろうとするユウリを、アイリが制した。

「やめろ!我々は、連れて来いと命じられだけだ!こやつを、殺せとは、命じられていない」

アイリの言葉に、沙知絵は鼻を鳴らし、

「で…あたしに、何の用なの?」

沙知絵はさらに、強気な態度を取った。

殺されるのは、わかっていた。だけど、その結果が待っていても、沙知絵は…魔神であるリンネを見たかった。

化け物となった自分でも、この世界を取れる程の力を感じなかった。せいぜい、数百人を始末できるくらいだ。

(神レベルの力とは…一体?)

学者であった自分の好奇心も、動いていた。

リンネは、そんな沙知絵の心を知ってか…グラウンドから、振り向いた瞳は、限りなく優しかった。

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