天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
炎の魔神であるリンネを殺すには、どこかにあるコアを破壊しなければならない。

最初から、話を聞き出したかったサラ達に、殺す気はない。

炎でできているサラは、

火種一つでもあれば、すぐに体を作れる。

風に乗り、遠く離れた場所のゴミ箱にあった新聞紙が、燃え上がると、

人の大きさになり、

リンネになる。

「今はまだ…あんたらの相手をしてる場合ではないわ」

リンネは、魔力を完全に消すと、町の暗い方へ消えていった。



「おのれえ〜ぬかったわ」

ギラは、唇を噛み締めた。

「ここしばらく、アルテミア様の気も感じん!その前に、一瞬感じた…強い魔力!この世界にはあり得ない力!やつこそ、テラ!」

ギラの言葉に、サラは目をつぶり…考え込んだ。


やがて、目を開けると、

「仕方ない…。また気を感じるまでは…待つしかない」

サラの言葉に、ギラは頭を抱えた。

「この汚い世界で…待たねばならないのか?」

「仕方あるまい。それが、我らに命じられた使命だ」

ギラも舌打ちし、眼下に広がる…人が作った建造物の群れを睨んだ。

「いっそのこと…この世界を破壊して、炙り出したらどうだ?」

「それは、できん」

サラは下を見た。

真夜中だというのに、明るい町。

自然というものを感じない…人工物の住みかを見下ろしながら、

「この世界に、できるだけ干渉しない…。それが、我らが王…ライの命令だ」


サラはそう言うと、黒い蝙の翼を広げ、さらに上空へと加速する。

まるで、天を目指すように。


ギラは、軽く舌打ちすると、サラとは違い、地上へ向けて、落下していく。

その落下速度は物凄く、

数秒で、地上へと降り立った。

真夜中とはいえ、まだまばらに人影がある町を、普通に歩きだす。

人の認識力では、ギラが落ちてきたと見ることはできなかった。

いきなり、数メートル先に大男が目に入り、歩いていた。

ただそれだけだった。

首を捻るぐらいで、別に取り立てて、騒ぐことはなかった。



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