天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「リンネ…」

突然後ろから、声をかけられ、リンネは驚いた。

夜の都心部。一番高い高層ビルの屋上に、リンネはいた。

そんなところで、声をかけられるなんて、普通はない。

「リンネ様!」

リンネの背中から、2つの炎が飛び出し、人型を取る。

ツインテールのユウリと、ポニーテールのアイリ。

リンネの危機に気付き、飛び出したが、二人はその瞬間、震えだした。

リンネはゆっくりと、振り向いた。

先ほどまで、気配を感じなかった。

騎士団長であるリンネに、気付かせずに、近付く存在など、数えるほどしかいない。

「お久しぶり」

リンネの挨拶に、屋上に着地した2つの影は、無言で近づいてくる。

「挨拶もなし?」

肩をすくめるリンネ。

「リンネ様!」

何とか、リンネを守ろうとするアイリとユウリに、リンネは命じた。

「どけ!お前達では、相手にならない」

リンネの言葉に、アイリとユウリは仕方なく、リンネの中に戻る。

「リンネ」

「お前の知ってることを、全部教えて貰う」

屋上に現れたのは、二人の騎士団長。

一角のギラと、二本の角(一本は折れている)を讃えたサラ。

リンネと同じ神レベルの魔神である。

「何も知らないわよ」

両肩をすくめたリンネに向けて、サラの手から電撃が放たれた。

「チッ」

問答無用の攻撃に、リンネは舌打ちすると、飛び上がり、電撃を避けた。 

サラとギラも飛び上がり、

空中で三人は激しくぶつかり合う。

UFOのように、ジグザグに絡み合いながら、

炎と雷が交差する。


「我々に、空中で勝てるか」

ギラの言葉に、リンネは苦笑した。

「勝つ気はないわ」

その言うと、リンネは笑った。

「ギラブレイク!」

「サラブレイク!」


雷雲一つない空に、信じられない程の雷が発生し、

そのせいで都心部に電波障害が起こり、停電にもなった。

電線が焼き付いたのだ。

雷撃は、リンネに直撃し…彼女の体は、バラバラに砕けた。

「チッ」

それを見た瞬間、サラは舌打ちした。

「逃がしたか」

ギラは、周りを見回した。





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