ノラ猫
 
感情を捨て、苦しいとすら感じなくなっていた少女。

そんな少女が、今、
声を大きく上げて泣いている。


何年も苦しめ続けられてきた男から
ようやく解放されて……



「今までよく頑張ったな」



この子が、どうしようもないほど愛しいと思った。



この手で一生守っていきたい。
俺自身が幸せを与えてあげたい。


この先も……
ずっとずっと……



「凛。

 神楽坂の名字、捨てよっか」


「え……?」


「横川凛になれよ」



俺がこの子の傍にいたいから……。
 
 
< 156 / 258 >

この作品をシェア

pagetop