ノラ猫
「だから一言お祝いをしてやろうと思って、ずっと探してたんだよ」
よろよろと歩を進め、一歩ずつ俺に近づいてくる。
暗い夜道に、
人通りはない。
「これは俺からお祝い。
受け取れよ」
「―――ッ!!」
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
鈍い音に
揺らめく視界。
「あっはっは!!」
義兄は狂ったように笑い上げると、俺から離れ、そのまま前を歩き続けていった。
「………っく…」
義兄の姿が完全に闇の中へ消え、
俺の脚から力が抜け、その場にうずくまった。
「はぁっ…はぁっ……」
じわりと汗が浮き出てきて
呼吸困難を起こしそうなほど息苦しくなっていく……。
「くそっ……」
触れた手のひらには
真っ赤な血があふれ出ていた。