ノラ猫
 
「はぁっ…はぁっ……」


  (俺の彼女?)


「ぅっ……はぁっ……」


  (知らない)


嘘だ……
嘘だ嘘だ嘘だっ……。


こんなの絶対に嘘っ……。


だって智紀は、あんな瞳であたしを見たりなんかしない。


(凛)


そうやって、優しい瞳を向けて、あたしの名前を呼んでくれるんだから……。



「うわーーーっ!!」



一人屋上へ駆けあがって、やり場のない思いを叫んだ。
 
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