ノラ猫
「座ったら?」
「うん」
リビングに来たものの、立ち尽くすあたし。
甘い香りを漂わせるココアを一口飲んで、すぐ横のソファーへと身を沈めた。
おいしい……。
「それ飲み終わったら寝ろよ」
「……うん」
「それまで、付き合ってやるから」
そう言って、智紀はソファーを背もたれにするように、あたしの前に座った。
斜め前に座る智紀の後姿。
栗色の髪の毛が綺麗。
「髪、綺麗だね」
「これ?ああ、よく言われる」
「何色に染めてんの?」
「これは地毛。俺、クウォーターだから。ばーちゃんがフランス人なの」
「へー」
それを聞いて、妙に納得した。
栗色の髪は、ダメージひとつなく、根元まで綺麗な色をしていて……。
瞳の色も、よく見ると、ほんのりサファイア色。
肌も透き通るほど白く綺麗で、どこか日本人離れしていると思った。
「凛の髪も、すげぇ綺麗だって思ったけどな」
「……伸びっぱなしにしてるだけよ」
「でもその色も綺麗。地毛だろ?」
「うん……」
髪のことを褒められたのは初めてだった。
生まれつき、あたしも色素は薄い。
髪も茶色で、肌は焼けると赤くなってしまうから紫外線は避けた。
家を出たのが冬だったからいいものの、これからの夏、紫外線をどうやって避けて生きようか……。
そんなことを思った。