ノラ猫
7章 さよなら……
 
「……」


気が付くと、そこは見慣れた場所だった。

高い天井に、殺風景のインテリア。
何度もそこで、一日の終わりをつげ、一日の始まりを迎えた場所……。


「ぁ……」


そこは、まぎれもなく、
あたしの部屋だった。


心臓が、痛いくらいドクドクと波打っていく。

嫌な記憶が堰を切ったかのように流れ込み、
じんわりと汗が滲み出てくる。


今自分が身を置いているこのベッドで……
あたしはいったい、何度……。



「起きた?」
「っ……」


ガチャリと回されたドアノブ。
それと同時に入ってきた人物。

それを見て、また汗が噴き出るように体温が上昇した。


「もうちょっと嬉しそうな顔しなよ。
 せっかく自分の家に帰ってこれたんだから」

「や、だ……」


そこにいたのは、にいさんだった。
 
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