うそつきは恋のはじまり



「俺は、七恵にとって『格好良い』になりたい」

「それ、って……あの、」

「七恵のことが、好きだから」



え?えと、え?あれ?え??

今、キスした?私を好き?彼方くんが?好き??



あまりに突然すぎる展開に、一気に頭はぐるぐると回り出す。



「す、好き……?」

「うん、好き。だから、俺と付き合いませんか」



彼方くんと、付き合う……彼方くんが、私を好き……。



「い、いいの?私で……」

「七恵だから、いいんだけど」

「なんで!?どこが!?どうして!?」

「なんでって……全部が可愛いから、かな」



恥ずかしそうにぼそ、と言う彼方くんは照れていると無愛想になるのか、笑うことなく髪をかいた。



彼方くんが、私のことを好き……。嬉しすぎるその事実は、まるで夢のよう。

でも、夢じゃないんだ。ならこのチャンスに言わなきゃ、嘘ついたまま付き合うなんて出来ないもん。


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