うそつきは恋のはじまり
「か、彼方くん!あのねっ……」
「さっき歳がどうとか言ったけどさ、大事なのは中身だと思うんだよね」
「え?」
「自分がその人といて安心するかとか、惹かれるものがあるとか、……あと、素直な人かとか」
す、すなお……?
「素直……って、あの、えと……」
「七恵みたいに、嘘とかつけなさそうな素直な人がいいって思う」
ってことは、えと、つまり……。
「じゃ、じゃあ……嘘をつく人は、嫌い?」
「まぁ、好きではないよね」
「た、だよねー!当然!」
ごめんなさい、彼方くん。
私嘘つけなさそうなんかじゃない。素直なんかじゃない。寧ろ、大きな嘘を抱えています。
「……七恵の、答えは?」
でも、好きな人に『好き』と言われて断れるわけもなく。嫌われるかもしれない事実も言えなくて……。
「わ、私も!彼方くんのことが好き!」
川崎七恵、30歳。この度、18歳の彼氏ができました。
が。嘘を消すことが出来ずにいる私は、今日も嘘つきのままです。
この恋、どうなることやら。