重なり合う、ふたつの傷


初めてのお給料を持って、ルミと浴衣を買いに川崎へ行った。


「あの浴衣、まだあるかな」


「きっとあるよ。ほらっ、あるじゃん」


ルミが水色の紫陽花柄の浴衣を取って私に見せた。


「やったー!!」


初恋の人と再会したような喜びとドキドキ感。

お店の人に下駄と巾着を選んでもらって更に胸がときめいた。

胸がときめいたのは初めて自分のお金で買ったから、というのもあるけど、天野くんと花火大会に行ける、その思いの方が強かったと思う。


他の服屋さんもチェック。

鏡の前で『勝手にファッションショー』を開催した。

買えなくても楽しかった。

私だったら裾をもっと広げたいとか、丸襟をつけたいとか、スカートにラメで文字を入れたいとか。

そんなデザインが鏡に映るように思い浮かんでいた。





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