重なり合う、ふたつの傷


飽きてきた頃、衝撃的なメールが来た。


《ルミは今日、佐伯先輩とお泊まりです。親には梨織のうちに泊まるって言ってあるから、よろしくね》


《わかった》


それしか返す言葉がなかった。


その夜は眠れなかった。


ルミの子供の頃のおもちゃはメイクセットだったという。子供用のメイクセット。


だからお化粧も上手で、まつげにはいつも黒い蝶が羽ばたいている。


唇もプルプル。果汁が滴り落ちそう。


アイラインだって、きれいに弧を描くように引ける。電車内で立っていてもだ。


更に魅惑的なのはEカップの胸。


そして、むっちりした腿にギュット引き締まった足首。


その全てを佐伯先輩が見ている。






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