重なり合う、ふたつの傷


その日、ルミは拓巳との七回目のデートで、もしかしたらそういう事になるかもしれないと、上下セットのレース素材で自分が一番おしゃれだと思う下着をつけて行ったそうだ。


場所は歓楽街のラブホテル。



勿論、ルミも了承してホテルへ入った。


だけど、部屋に入るなり、拓巳が豹変したらしい。


急に暴力的になって、頬を平手打ちされて、ベッドに押し倒された。


ルミは必死に抵抗したけど、逃げられず、手錠をはめられ、ベッドに繋がれた。


そして……大切なものを失った。

シャワーも浴びずに、ただ一方的に。


それでも拓巳の事が好きだったというルミ。


「ルミは奴隷でもよかったんだ。拓巳がルミの永遠の居場所だと思ってたから」


ルミはきっとなにかに取りつかれるみたいに、拓巳という存在に真実の愛を求めていたんだと思う。


でも一年以上の時をかけてもその愛には辿り着かず、拓巳とは別れ、佐伯先輩とつき合い始めた。






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