不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~



「フフフ…そうだね。こうして話していると涼君の方が大人だね」

「えっ?そんなことは」

「今日、陽菜ちゃんといるのを見てて本当にそう思ったの」

はぁ?

陽菜といる俺って…

陽菜の言いなりの頼りないだけなんだけど。

それの何処が大人?

そんな俺の怪訝そうな顔を見て

「フフフ…自分では分からないわよね」

「何がですか?」

「陽菜ちゃんに抑えられてるように見えるけど」

いや、その通りだし。

「陽菜ちゃん、涼君を全面的に信頼してる。我が儘言ってるように見えてるけどいつも涼君の意見を最優先してるじゃない。もし自分が間違った方に行きかけても涼君がちゃんと軌道修正してくれるって安心感があるからああして伸び伸びしてるんだよ。安心 して涼君に甘えてることが出来るんだよ。おじ様も志織さんも一 緒。涼君を信頼してるから安心して陽菜ちゃんを任せている。陽菜ちゃんね、ピアノの稽古に 初めて来た時からいつもいつも涼君の話ばかりしていた。『お兄ちゃん が』って。よっぽどお兄ちゃんが好きなんだなって…他にも兄弟いる子達もいるけど彼処まで 『お兄ちゃん好き』って感じの子はちょっといないよ。中学になったらやっぱり恥ずかし いって思いがあるじゃない。なのに陽 菜ちゃんにはそれがない。一人っ子の私には羨ましい」

「先輩」




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