不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~



「千恵はああいうタイプだろ。俺より水島を大事にしている部分もある。俺も今はそれでいいと思ってるから気にしてないんだが、水島は気にしている。俺に悪いって」

「……」

確かに。

先輩は気配りの人だ。

「だけどお前は…あの馬鹿男と違ってマジに何の損得勘定なしで 一途に水島に惚れてる」

「……」

片桐先輩、千葉先輩にいったいどんな風に話したんだ?

「お前はさ、俺の後輩つうのを除いても本当にいい奴だ。ただ」

「はい?」

千葉先輩がニヤニヤと

「素直過ぎるけどな」

「えっ?そんなことは」

「そうか?さっき陽菜ちゃんが言ってたぞ」

アイツまた何を…

「『お兄ちゃんは陽菜より素直なんだって。パパやママがそう言うの。失礼しちゃうわ。私の方が素直だと思うんだけど』って膨れてた」

陽菜!

またべらべらと要らんことばかり喋って!

「ハハハ…だからお前なら水島を素のままの水島でいさせてくれるって俺も千恵も思ってる」

「先輩」

「頼むな」

本当に千葉先輩も片桐先輩も先輩のことを大事にしてるんだな。

「俺に何が出来るか分かりませんが水島先輩を好きって気持ちだけは誰にも…陽菜にも負けませんから」

「ハハハ…後の関門は陽菜ちゃんか。一番手厳しいな」

「はい」



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