不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~



「さ、ご飯にしましょう」

お袋が話を変えて

「今日は陽菜のリクエストの唐揚げよ」

「うん。陽菜も手伝ったんだよ。だから美味しいからたくさん食べてね」

ニコニコ笑いながら運んでくる。

今晩は唐揚げとポテトサラダと具だくさん味噌汁。

「いただきます」

「いただきます」

ん、腹が減ってるからめっちゃ美味い。

「あ、お兄ちゃん」

「ん?」

2杯目の飯を食いながら

「どうした?」

「凛ちゃんが電話してきてね」

「……」

先輩が?

「へぇ~凛ちゃん涼に何か伝言か?」

親父…面白がるな!

「恭介さん」

ほら、お袋にたしなめられている。

「あのね、昨日のこと話していて、その時にあの男に気をつけてねって。もし会ったとしても知らんぷりしてって」

「……」

陽菜、それを親父達の前で言うか?

「陽菜」

「陽菜、それ何の」

ほら、見ろ。

「それからね、さっき悠ちゃんからメール着て」

「悠から」

もしかして

「お兄ちゃん、悠ちゃんに話したの昨日のこと?悠ちゃんもやっぱり気をつけろって」

悠…ありがたいんだけど何で今なんだよ。

「陽菜、涼、いったい何の話だ?昨日何かあったのか?」

親父の顔からはいつものからかうような笑いはなく真剣な顔だ。

「とにかく先に食べちゃいましょう。 終わってからゆっくり聞かせてもらうから。恭介さん、それでいいでしょう?」

「……」

「恭介さん」

「…あ、あぁ」

こういう時のお袋はビシッとしている。

「さ、食べちゃいなさい」

「はい」

陽菜も親父とお袋の顔を見て『しまった』と思ったのか

「お兄ちゃん、ごめん」

「いいさ。親父達にも話しておく方がいい」

「う、うん」

そんな俺達のやり取りを親父とお袋が心配そうに見ている。







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