不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~



「それにね」

「は、はい」

「藤倉君よ」

「藤倉君?」

「そ、イケメンで野球部のヒーローで頭もよくてモテモテ男じゃない」

「う、うん」

確か去年の学校祭のイケメンランキングにも上位に入ってた。

「そのイケメン君とミス青葉が一緒にいたら…それだけでニュースなの。噂になるの」

「……」

「分かった?」

「……」

「分かったの?」

やはり千恵の迫力は凄い。

「う、うん。だけど」

「うん?」

「馬鹿らし」

「まぁね、確かにね。煙りも何もないのにね」

「……」

煙り…

『俺、凛さんが好きです』

『絶対俺を好きにさせますから』

涼君…マジだったよね。

でもいきなりだったから。

金曜日に会って初めは私を後輩と勘違いしてたみたいだし。

陽菜ちゃんからは色々聞いてたけど、学校での噂とはかけ離れていて…

無口だと言う噂だったけどわりと話してたし、表情も豊かだし、 それに家族といる時は本当にいい顔して。

おじ様のことを何やかや言ってるけど尊敬してるのが分かるし志織さんのことも凄く優しい顔で見てた。

陽菜ちゃんに対してだって可愛がってると言うか大事にしてるし。

噂ってやっぱり噂なんだよね。



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