俺の魂を狂わす女
「日高!」

沢木の声がした。

「ほら、僕につかまって。」

俺は沢木の顔を見てホッとした。

彼は差し出した俺の右手をしっかりと握って

グイと前に引いた。

「立って!」

鉛のように重く気だるい全身をどうにか立たせた。

事務所のソファに深々ともたれ

熱いコーヒーをもらった。

沢木は彼女と話をしていた。

「日高、久保さんに家まで送ってもらうように頼んだから今日は帰れよ。ここに居られても僕が困る。わかった?」

俺は反論するのも面倒なくらい消耗していた。

「わかった。済まない。」

折り返しまた彼女のプジョーに乗り込み

自宅に着くまで20分程ウトウトした。

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