俺の魂を狂わす女

今朝もいつものブースに車をバックで停め

運転席のドアを開けて片足を外へ出したら

隣の空いたブースにバイクがスッと滑り込んで止まった。

「おはよう。」

ヘルメット越しの声がくぐもって聞こえた。

彼だ。

「おはようございます。」

私は車から降りてドアをロックした。

彼はバイクのエンジンを切った。

「この間はありがとう。」

「いいえ。もうよろしいんですか？」

「改めて礼をしたいと思って。」

「あら、そんなお気遣いは無用ですわ。でも折角のお申し出をお断りするのも申し訳ないのでお受けしますわ。」

と私は早口にまくし立て

メットの向こうにある彼の目を見て微笑んだ。

私は自分の口からスラスラと飛び出た言葉に心の中で動揺しながら

口元に笑みを浮かべ続けた。