伝わる温もり
「ねぇ……。私、病気なの?」

「違う。病気なんかじゃないよ……。」

「じゃあ、なんでそんなに悲しそうな顔するの?本当のこと教えて?」

「……心愛。先生、この子に教えてあげてください。」

「良いんですか?言っても……。」

「この子自身の人生なので……。言ってあげてください。」

そう言って、お母さんは肩を震わせてまた泣き出していた……。
お母さんの方を見ていると先生が私に。

「心愛ちゃんしっかり聞いて欲しい、君の肺に悪性の腫瘍ができているんだ。」

「……肺に腫瘍?ですか……。」

「そう、それも悪性の。でももう手の施しようがないんだ。」

え……。

「じゃあ、私……もう生きれないってことですか?」

「もし、延命治療を受ければ長くて2年、しなければ短くて5ヶ月。」

治療受けても2年……しなかったら5ヶ月……。だったら私は。

「私、治療受けません。この5ヶ月間精一杯生きて幸せだったなって思えるように好きなことをして学校行って笑いたいです。」

「そうか、本当にいいんだね。」

「はい。」

これでいい、治療で病院に入院するより今生きてる時間を精一杯
生き延びて楽しく過ごしたい。


そのあと私とお母さんは家に帰った。帰ったあとのお母さんも
ずっと泣いていて私も泣きそうになった。

「お母さん、泣かないで。私ね、お母さんとお父さんの子供で良かったって思ってるの。」

「心愛……。」

高校2年まで何もなかったのにその間に腫瘍は大きくなってたんだ……。

これからどうしよ……。伶斗になんて言おう。”私、肺に腫瘍があるの”なんて絶対言えない。だってそんな事言ったら伶斗の幸せが実らない。
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