好きになっちゃダメなのに。


「……っ」

って、私!

何てこと考えちゃってるの!?

こんなこと考えるなんて、どうかしてる!!


「えっ、しかももうこんな時間!?」


授業開始5分前の予鈴が鳴り出して、私はようやく迷路みたいな思考をストップさせた。


────次の授業、なんだったかな。

移動教室とかじゃないよね?

あっ!
ていうか私、お弁当全部食べてないし!



ストップさせた思考を、無理やり方向転換。

なおも速水くんのことを考えそうになってしまう思考を振り払うように。

自分でも戸惑う感覚がまだ胸の中に潜んでいることなんて、気が付かないふりをして。

ぶん、とひとつかぶりを振って、私は教室に向かって駆けだした。


< 153 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop