好きになっちゃダメなのに。

そ、そんな。

しかも、ぼーっとしすぎていたせいで、先生の言う『このページ』がどのページなのかもわからない。

ていうか今って、問題集をやってたんだ。

それすら気付いてなかったって、私どれだけぼんやりしてたの!?


慌てて、机に乗っていた問題集を開き、パラパラとページを探す。

けれど。


キーンコーンカーンコーン……。


教室にのんびりとしたチャイムの音が鳴り響き、先生はチッ、と舌打ちでもしそうな顔で、持っていた問題集をパタンと閉じた。


「晴山、今言ったところ、次の時間までに解いておくように。当てるからな」

「は、はい」


今言ったところってどこ?

羽依ちゃんにあとで教えてもらおう……。

はあ、とため息をついて、私もただページをめくっただけの問題集を閉じて机の上に置いた。


きりーつ、礼、と委員長の間延びした声で号令が響く。

< 3 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop