犯人は田中殺人事件【短編】
ピピピピピピピピ!!

ハッ!

いつまで経っても目を覚まさない私の為に目覚まし時計がしぶとくアラームを鳴らせ続けている。昨日私がセットしておいたのだ。

「夢か……」

そう夢だったのである。昨日確かに我々は絶海の孤島の館にやって来たが、事件など起こりはせず楽しく有意義に過ごし、夜には大人だけでしこたま呑みまくった。そして潰れて寝た。つーかジョニーって誰だよ?

「ん?」

何かがおかしい。何だかわからないが違和感がある。あの遅刻確定のタイミングで起床してしまった時、時計を確認するよりも前にドキドキし始めるのに似た感覚だ。

何気なく窓をみると……バカな!もう夕方だと?目覚ましは昼にセットしたハズなのに…セットしそこなったのか?

まあいい。違和感も目覚ましも私の勘違いだろうし、何より喉が渇いたし腹もすいた。食堂で何か貰おう。

私に割り振られた部屋を出て食堂へ向かう。違和感はますます大きくなってゆく。

「スイマセーン!何か食べる物を頂けませんかー?」

返事がない。誰もいないのか?

と、その時閃くように違和感の正体に気がついた。

『静か過ぎる。まるで誰もいないみたいに』

あわてて私は館中を見て回ったが本当に誰もいない。外を探そうと正面入口へと行くと扉に紙が貼り付けてある。

その紙には私宛てのメッセージが書かれていた。
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