犯人は田中殺人事件【短編】
私以外で目配せを交わし合った後、代表のような感じで2ノ宮氏が一歩前に出ると申し訳なさそうに私に言う。

「ええ、それはわかっています。てゆーか犯人は田中氏で間違いないでしょう」

「え!そーなの?」

「はい。私達がほぼ同時にここに来た時、1ヶ谷さんのそばに立ってましたし、今も様子が明らかにおかしいし、何よりあんなに返り血浴びているのですから。そうですよね田中氏?」

「その通りです。私がやりました」

なんと!この少人数の中に私を上回る名探偵が交ざっていたとは。

かくして事件は解決した。



その後色々な事があったり無かったりして時が過ぎ、十年後私は馴染みのバーのカウンターで常連仲間の男に当時の思い出を語っている。

「ハッハァ。ジョニー、その時私は言ったのさ『この事件はヤバい匂いがプンプンする』ってな!」

ピピピピピピピピピピピ……

どこか遠くで電子音が鳴っている。ウルサイな。今話がいいところだから静かにしてくれ。

「そして推理と閃きによりたどり着いたのさ……誰が犯人であるかにな!」

ピピピピピピピピピピピピ……


電子音は鳴り止まない……




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