㈱恋人屋 TWICE!
何が起きたんだろう?

私は、状況が読めなかった。

告白されてる…んだよね?

「…あ~、大学の時好きだったんだ~…。」

後半部分は聞いていないフリをしたが、新が気づかないわけがない。

「…今でも、好きなんだけど。」
「…。」

無言の私に、諦めたように新が言う。

「ま、こんなこと言っても無理か。今の紗姫には、ちゃんと旦那がいるからな。」

そう。私は、告白を受け入れちゃいけない。

でも、むげに断るのは、やはり気が引けてしまう。

「…新。」

返事をしなきゃ、いつまでもこの面倒な空気が流れ続ける。それに、うまくデートできない。

そして何より…。

私は、恋人師だ。

「ゴメンっ!」

私は、新に向かって頭を下げた。

「私…新とは、付き合えない。今は菜月くんがいるし…私、新とデートするのは、これが仕事だからっていう理由なの。だから…ゴメンね。」

十分痛い断り方じゃん。気づいたのは、頭の中に浮かんだ言葉をそのまま言ってみてからだった。
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