㈱恋人屋 TWICE!
そして…。

「時間、二十一時十二分。確保!」

何の間違いか、私は御用となってしまった。しかも、私に手錠をかけたのは、皮肉なことに本店時代に私を助けてくれた警察官の倉橋真守(クラハシ・マモル)さんだった。

パトカーの中で、私は真守さんに聞かれた。

「紗姫さん、何でこんなことを…?」
「だから、私やってませんって…。」
「はぁ…。紗姫さん、いつからこんなことをするように…。」
「常習犯みたいに言わないでください! そしてやってません!」

取り調べでも否定し続けたのだが、何せあの状況。真守さん達を論破できるはずもなく、私は捕らわれの身となってしまった。

「あの…。」
「何ですか?」
「弁護士さんって…どうやって雇うんでしょうか?」
「う~ん…じゃあ、やっておきましょうか?」
「あ、はい。」

その後、私は拘留された。ショックだったが、お酒が入っていたせいかその晩はよく眠れた。

「面会だ。」
「誰だろ…?」

面会に来たのは…知らない男性だった。

「あの…?」
「新海紗姫さん…ですよね?」
「そうですけど…?」
「弁護士の倉橋法立(クラハシ・ノリタツ)です。」
「倉橋? 倉橋って…。」
「はい。僕、真守の兄です。」
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