エリート同期のプロポーズ!?
「なんか急に寒くなってきましたねー」


背後から声を掛けられて、はっとする。


つい、トイレでぼんやりと、摩耶とのお別れシーンを思い出していたため、身体がびくっとなった気がする……。


「そ、そうですねーホント……」


慌てて答えながら振り返ると、そこには……


「沙耶香ちゃん……」


にこ、と微笑み、軽く会釈をする姿は、いつ見ても文句のつけようがない神々しいほどの美しさ。


沙耶香ちゃん、なんて呼んだけど、別にあたしと沙耶香ちゃんが親しい訳ではない。


寧ろ、殆ど会話したことなんてない。


だけど、影の呼び名(本人は勿論知っているけど)がマドンナならば、表向きの呼び名は『沙耶香ちゃん』、という感じで。


誰も『相川さん』とは呼ばずに『沙耶香ちゃん』と呼んでいる。
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