私の師匠は沖田総司です【上】
「総司、斎藤、これまでのことを話せ」

「御意」

「分かりました」

俺と総司は先ほどのことを話した。

話しの間々で総司が話を脱線させたが、何とか話し終える。

俺一人で説明した方が何倍も楽だったな。

「天宮の中にもう一つの人格か……」

副長が顎を撫でながら呟く。

「そいつは自らを蒼夜叉と名乗っていました。蒼夜叉は複数の敵を一人で倒しています。

それも全て一撃で倒していました」

「敵を一撃。ずいぶん戦い慣れているようだな。相当の手練れと見て間違いない。

……その人格は俺達にとって味方だと思うか?」

副長の鋭い視線が向けられ、思わず俯いてしまう。

副長にとっては敵か味方か、それが一番重要なことなのだろう。

組織を脅かす存在ならば、天宮のこれからの処遇を考えなければならない。

敵ならば監禁するとまで言いそうだな。逆に味方ならば利用する、と考えて良いだろう。

俺と総司の一言に掛かっていそうだな。

「俺は味方と考えて良いと思います。蒼夜叉と言う人格は何より、天宮を大切に想っている。

我々に天宮を頼むと言っていましたし、なにより敵意を感じませんでした」

「そうか。総司はどう思う?」

「そうですね……。僕は正直よく分かりません」

「分からないだと?」

副長の目が細められても総司は飄々とした態度を変えない。
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