私の師匠は沖田総司です【上】
「蒼夜叉が敵か味方かになるかなんて、僕たち次第だと思います。

僕たちが天宮さんを傷付けたりしたら敵になるし、その逆だったら味方になる。

そう考えて良いと思いますよ」

「なるほど」

「まぁ、とりあえず今は味方と考えて良いと思います。土方さん、天宮さんを監禁するなんて馬鹿な真似は絶対に止めてくださいね。

彼女は僕たちの情報を守ってくれた、救世主でもあるんですから」

「ぐっ」

言葉を詰まらせる副長。

天宮を監禁すると言う考えがあったらしい。

「とりあえず、今は彼女のことを考えましょう。初めて人を斬って、ずいぶん心に負担を掛けたらしいですから」

「ずいぶん天宮を心配してんだな」

「彼女には元気になって欲しいんですよ。だって、僕が一番好きな甘味を作れるのは、あの子だけなんですから」

結局甘味の心配か。

「女に興味がない総司が女のことを心配するとか、絶対おかしいと思ってたが納得だな」

「副長のおっしゃる通りです」

「土方さんも一君も酷いな~。僕だって仲間を心配しますよ」

「最初、あんなに天宮を嫌っていた奴がよく言う」

呆れた様に副長が笑うと、総司はたちまち顔を赤らめた。

「今は仲良しですよ」

「おまえだけ、組長って一線を引くような呼び方をされてるがな」

「……」

「副長、総司で遊ぶのはやめましょう」

「ああ、分かったよ。あまりにコイツの反応が面白くてついな」

副長の顔が輝いている。まるで面白い玩具を見つけた子供のようだ。
< 147 / 472 >

この作品をシェア

pagetop