私の師匠は沖田総司です【上】
「師匠、私のお家においでよ」

『え?』

「師匠の姿は、私にしか見えないから大丈夫だよ。お父さんとお母さんには、絶対にバレないようにするから。ねっ、良いでしょ?」

師匠の着物を握ると、師匠は困った顔で頬を掻きました。

『でも、僕が寝るところがないし……』

「師匠はいつもどこで寝てるの?」

『今はこの桜の木で寝てるんだ』

私は桜の木を見ました。私はう~んと唸った後、ポンと手を叩きました。

「師匠ー、肩車して」

『何するの?』

私は師匠の言葉に答えず、ニシシッと笑っていました。

師匠は首を傾げながら屈んでくれます。

私は師匠の大きな背中をよじ登り、肩に座りました。

「師匠、あっちあっち」

『あっちって、どっち?』

「左、やっぱり右」

師匠は私が指示した方向に、歩いてくれます。

そして、目的の位置まで来ると、止まってもらいました。

私は師匠に肩車されながら手を合わせました。

「桜さん、枝を一本貰います」

手を伸ばし、手頃な枝を一本折りました。

『その枝をどうするの?』

「家の庭に植えるの。これが師匠の新しいお家だよ」

『……随分小さなお家だね』

師匠は苦笑いをしていましたが、私はニコニコとその枝を眺めていました。
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