私の師匠は沖田総司です【上】
「蒼蝶ちゃん、隊士になるんでっか?」

「ああ、実力は申し分ないからな。それでどこの隊に所属するかなんだが」

「1番隊がいいです」

私の言葉に山崎さんの顔をサッと青ざめさせる。

何でしょうかその反応?

すると、山崎さんが私の肩を掴みました。

肩を掴む手が怪我をしている場所にある!

山崎さん、かなり痛いです!早く手を離して!

「1番隊だけぇはやめた方がええ!あそこには悪魔しかおらへん!なっ、副長もそない思うやろ!?」

「山崎の言う通り1番隊だけはやめとけ。1番隊の組長は訓練はサボるわ、訓練にでたとしても笑顔で隊士をボコボコにして何事もなく去って行く、人間の皮を被った魔王しかいねえ。

いや、魔王よりもずっと性質(タチ)が悪い」

……師匠、土方さん達から悪魔とか魔王とか、悪役を代表する代名詞で表現されていますよ。

この時代の貴方は何をしていたんですか。

まあ、確かに師匠の稽古は厳しいですよ。何度も何度も容赦ない攻撃をこの身に受けましたから。

師匠との稽古で体に痣ができること、気絶することなんて珍しいことではありません。

でも、私からすると師匠は悪魔ではなく仏様です。

私の頭をナデナデしながら褒めてくれる師匠は本当に仏様に見えますよ。気のせいかもしれないけど後光も見える気がします。

師匠の話はこれぐらいにして、それよりも今は

「山崎さん、痛いです……。肩の手を離してください……」

「やっ、かんにん。思わず掴んでしもた」
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