私の師匠は沖田総司です【上】
山崎さんが手を離してくれたことにより、ホッと息を吐いた。そして土方さんの目を真っ直ぐに見る。

「土方さん達がなんと言おうと私は1番隊に入りたいです。よろしくお願いします」

「はぁ……女なのに頑固な奴だな。分かった、1番隊の組長に聞いてみる。明日まで待ってくれ」

「はい!ありがとうございます!」

土方さんが手を少し柔らかい笑みを浮かべ、部屋から出て行きました。

「蒼蝶ちゃん、考え直すやったらいまやで」

「心配してくれるのはありがたいですが、私は考えを改めるつもりは微塵もありません。それに、1番隊の組長にボコボコにされても山崎さんがいますから大丈夫です!」

「ワイの治療頼りか。……しゃーないな。蒼蝶ちゃんの為に医者の腕も上げるか。かわえぇ蒼蝶ちゃんの体に傷跡を残すわけにはいかへん。

せやけど、ええか。無理やんかあかんぞ」

「はい、もちろん分かっています!」

その後、山崎さんは他の人の治療があると言って部屋から出て行きました。

部屋にひとり残された私は天井を眺めてから、目を閉じた。

師匠、私は無事に新選組に入隊することができました。

これで私は師匠の未来を変えられるでしょうか?

……でも師匠、やっぱり少しだけ怖いです。一目だけでいい、師匠に会いたいです。

師匠……、貴方は今、どこにいるんですか?

急に胸の奥から溢れ出る寂しさに、胸がキュッと締め付けられる。

自分で決めたことなのに、心がぐらつく。

投げ出したくない、師匠の未来を変えたい。

でも、怖い。

「師匠」

枕元に置いてあった師匠の刀をギュッと抱きしめる。

すると、師匠が近くにいるような気がして、少しだけ心が落ち着きました。

しばらくするとゆっくりと睡魔が近づいてきて、私は深い眠りについた。

『蒼蝶』

完全に眠りにつくと、どこからか師匠の声が聞こえた。
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