私の師匠は沖田総司です【上】
「龍馬さん、龍馬さん!」
私は半泣きになりながら必死に名前を呼び続けました。
すると龍馬さんの睫毛がピクリと反応し、うっすらと目を開けました。
「あ……げは……?」
「はい!そうです!龍馬さん、気をしっかりもって!」
私は怪我をしていない方の手を強く握り締めました。
でも、龍馬さんはすぐに目を閉じてしまう。
「龍馬さん!死んじゃいやぁ!!」
叫ぶけど龍馬さんは目を開かなかった。
泣いていても何も変わらないとは分かっているけど、涙が止まらない。
しばらく龍馬さんの手を握っていたら
「一体何事や?」
と、聞き覚えのある声が背後から聞こえてきました。
「千代菊さん……」
私は涙でぐしゃぐしゃの顔で芸子姿の千代菊さんの名前を言いました。
千代菊さんは私と龍馬さんを見ると目をスッと細めました。
「今ここにいる皆はん、倒れてる殿方を角屋に運んでや。後医者を呼んで」
「えっ、だが……」
「角屋の主人にはウチから話を通しとく。ほら、この場にいる全員ボサッとしはるんではおまへん!人の命が掛っとるんやぞ!」
千代菊さんが一喝すると周りにいた人達がせわしなく動き始めました。
「千代菊さん、龍馬さんは」
「大丈夫、龍馬はんは簡単に死なん。とりあえず部屋に戻りましょ?」
「はい……」
千代菊さんに付き添われながら私は角屋の自室に戻りました。