私の師匠は沖田総司です【上】
以蔵が角屋の主人に話しを通しくれたおかげで、俺は飯や寝床に困ることなく、怪我の治療に専念することができた。
蒼蝶も仕事の休憩時間に部屋に飯を運んでくれたり、話し相手になってくれたりして退屈しない。
二人のおかげで俺の怪我は早く治った。俺の回復力に医者も驚いたほどだ。
「本当に治ってる。もう痛くないんですね」
「ああ、大丈夫だ」
昼の休憩時間に部屋に戻って来た蒼蝶は、抜糸されたばかりの俺の傷跡をまじまじと眺めていた。
痛みは無いがまだ少し肌が引きつるような違和感を感じる。でも、いつかはこの違和感にもなれるだろう。
「おまえと以蔵にはデカい借りができたな。いつかこの借りは絶対に返す」
「そんな……気にしないでください」
頭と手を振って蒼蝶は困ったような笑みを浮かべるけど、気にしない訳にはいかない。
二人には多大な迷惑と心配を掛けたし何より命を救ってもらったんだからな。身を隠させてもらった角屋にも何か礼をしないといけない。
それから蒼蝶が持って来てくれた軽めの昼食を食べ終えて二人で無言のまま過ごしていると、日差しで淡い黄色に染まっていた襖に人型の黒い影が現れた。