私の師匠は沖田総司です【上】

「いやじゃ……ないです。いやじゃないから涙がとまらない……」

素直に心の内を言葉にした。すると龍馬さんは小さく目を見開き、顔が赤くなった。

「っ……そんなこと言って、どうなっても知らねえぞ」

「んっ」

再びキスされた。

小さく音を立てて何度も口付けを交わす。ダメだと思って身体を押すけど、頭を力強く抑えられて離れることができない。

唇が離れたら首筋に噛みつくような痛みが走った。

「あっ、ちょっと……」

「蒼蝶、好きだ」

熱い吐息が首筋に掛かり思わず首を竦めた。

いやじゃない……いやじゃないけど、やっぱり龍馬さんの気持ちに応えられない……。

それなのに、龍馬さんのことが好きだという気持ちが邪魔をして、本気で拒めない。

中途半端な抵抗なんて無意味だってわかってるのに、身体が強く抵抗することを拒んでしまう。

どうすればいいのか分からなくて目をギュッと閉じた。

そしたら

『僕の蒼蝶に触らないでくれるかな』

師匠の声が聞こえた。
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