二人四脚。
prologue
【茜side】


夕暮れの体育館にホイッスルが鳴り響く。得点板が表示する数字は110-110、今日もドロー。一体何時までこの現象が続くのだろう、と、くわえていたホイッスルを外した。


「今日もかよ!!いいのか悪いのかわかんねーじゃん!!」
「はいはい、ちゃんと水分補給しないと、いくら体育館だからって熱中症になるよ?」
「ん、さんきゅ。」


スポーツドリンクを手渡すと、幼馴染の彼、大八木真央は浴びるように飲んでいる。その真剣な顔が面白くてつい、ぷ、と笑ってしまった。


「笑いやがったな!!茜!!」
「だって、寄り目になったり白目になったり目玉動きすぎなんだもん!ねぇ、恵吾?」「あぁ、お前今の顔は女子完全に引くぞ。」


私の隣に座ってきたのは、またまた幼馴染の黒崎恵吾。はい、ともう1本のスポーツドリンクを渡すと、「ありがと」と素っ気ない返事が返ってきた。保育園からの仲だから、彼なりに感謝しているのは私も真央も分かっているんだけど。


「そういや、恵吾。足首ぐねったくない?」
「あぁ、自分で冷やした。やっぱり茜は洞察力いいな。」
「でしょでしょ?昔から人間観察が趣味だからね!」
「あ、俺のシュートのフォーム、どうだった?」
「やっぱり重心がやや右だね。試合に影響はでなさそうだけど。」
「真央はバランス力ないからな。いつも片足立ちできないし、な」
「ちょ、俺もうバランス力あるし!!」


と、片足立ちをフラフラしながらやる真央。まだバランス力はついてないみたい。そして、恵吾は真央を支えている。やはり、良き親友で、良きライバルなのだ。







―――――――こんな幸せが、ずっと続けば良いのに・・・




神様は、それを許してはくれなかった。
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