僕の幸せは、星をめぐるように。
4月/April アイ・キャント・フライ


4月末になり、ようやく桜の花が咲き始めた。


紺色のセーラー服。

膝丈のスカート。

肩にかかるくらいの黒髪。

伸びた前髪には、色つきのピンを刺して固定する。

スウェット生地のリュックを背負い、赤い星のワンスターを履いて、自転車に乗る。



「トシミちゃんだー!」「おはよう~!」


「あ、おはよー!」


「あんれぇ? トシミちゃんってスニーカーだったっけ?」


「んだぁ。みんなみたいにローファーにしたいんだけど、靴ずれしやすくてさ~。……やっぱ微妙だべ?」


「ううん、似合ってるし!」「いーじゃん、動きやすいべ?」



――ふう、良かった。




同じような人を乗せたたくさんの自転車たちが、

次々と校門の中へ吸い込まれていく。


今のわたしはまわりの景色に溶け込むよう、気を遣いながら、日常を過ごしている。


別にとてもつまらないわけでも、とても面白いわけでもない。


味はまあ美味しいけど、毎日変わらないメニューの料理を食べさせられているような、

そんな毎日。


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