僕の幸せは、星をめぐるように。
これがちょうど中3の12月ごろかな。
冬休みが明けて、3学期入ってからもずっと学校行く気がおきなくて、
引きこもって本読んだりゲームしたりしてたけど
親が気分転換にばーちゃんの家にでも行ったら? って提案してくれて。
そのころには賢治作品も結構読んでたから、久々にあの町に行ってみたいって思った。
たぶん親も近所や保護者の人たちから噂されることに疲れたんだと思う。
それから、ばーちゃん家で苗植え作業とか手伝ってるうちに、
ちょうど受験シーズンになったから、そのままこっちで高校受験して、そんで今に至るってとこ。
担任の先生は、過呼吸になりそうだったのを介抱しただけです、っていうおれの話を信じてくれた。
学校行かなくなってもまめに連絡取ってくれて、進学のこととかもいろいろやってくれた。
おれをかばってくれた人はいたけど、先生のことは誰も守ってはくれなくて。
おれでさえ下世話なこといろいろ言われたから、先生はもっとひどいこといっぱい噂されたり、言われたりしたんだと思う。
先生が悪く言われるのが、嫌で嫌でたまらなくて。
でも何にもできなかった。
先生は仕事ができる人だった。
たぶんちゃんと先生になったら、すごく良い先生になるはずだったと思う。
先生の車には、教員採用試験向けのテキストが何冊か置かれていたし。
先生が先生辞めたのはおれのせい。
おれが先生に近づかなかったら良かったんだ。
先生の人生をぐちゃぐちゃに壊したんだ。
先生、全然強くないから、その……大丈夫かなってずっと怖かった。
3月にクサマくんがこっち遊びに来てくれて、
『先生は実家の群馬に戻って、塾の先生をやってるらしい』って教えてくれた。
ちょっとほっとした。
でも、もうおれは先生とかかわっちゃいけないと思った。
よく分からなくなっちゃった。
何で彼氏がいたのに、おれにキスしたんだろう、とか。
おれは本当に先生が好きだったんだろうか、憧れだったんじゃないかな、とか。