僕の幸せは、星をめぐるように。
12月/December あいのかけら



『世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない』

(宮沢賢治『農民芸術概論網要』序論より)


かの賢治先生はこう言ったらしい。


小学校の時、道徳か国語か忘れたけど、学校の先生はそれを「世界平和を願いましょう」と解説していた。


その時は、はーい、と返事をしたような気がしたけど、

今のわたしはそれに違和感を覚える。


詳しいことは全く分からないけど、世界のどこかでは戦争が起きていて、それにまつわるニュースがテレビで流れてくる。

それを踏まえると、少なくとも脳内お花畑なわたしの感覚では、日本は平和なんだと思う。


でも、殺人事件や自然災害、汚職事件やいじめ問題など、この国にも衝撃的な出来事が日々起きている。


例えば身近な所でも、痴漢にあった~、と言ってクラスメイトが泣いていたり、他のクラスでは生徒が先生を殴って退学になったり、ということもある。


もちろん、世界が平和になればいいなと漠然とわたしも思う。

だけど、平和の中――今ここに生きているわたしたちは本当に幸せなのだろうか。


賢治さんが言いたかったこととは、一体何なんだろう。



「阿部くんは、もっと浅めにかぶった方が似合うって」


「うーん。こんな感じ?」


「んだ! わー、めんこい~」

  
ふわっとした髪の毛に、青いビーニーを浅めに被せる。

長めの前髪が押さえられ、目に入りそうになっていて可愛い。

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