僕の幸せは、星をめぐるように。

わたしの目の前では今、

赤、黄色、青、オレンジ、様々な色を浮かび上がらせながら、宇宙空間の中を汽車は走り、星たちの間を進んでいる。


『ばか! いいよ。トシミちゃんはトシミちゃんらしくいればいいよ!』


彼の温もりを思い出すと、胸がズキズキと痛む。


昨日、あの後クサマくんと電話で話した。


もともとは東北旅行に行く予定があるから、色々と教えてもらうためにわたしに連絡をくれたらしい。

でも、意外とわたしから阿部くんの話題を振ってきたため、びっくりしたとのこと。


『最近阿部ちゃんの様子がおかしいと思って、酒飲ませてべろんべろんにさせてみたら、やっとあいつ吐いてくれてさ。あ、ゲロプーじゃないよ』


『あはは、分かるよ』


『こっち戻ってから、その先生と時々ご飯とか行ってたらしいけど。先生、別の人と結婚したらしくて』


『へ、へぇー』


『でもあいつ、まだ先生と会ってるんだって。部屋にも誘われたんだって。それ以上はさすがに教えてくんなかったけど。

俺心配で……。でも阿部ちゃんあんまそういうことぶっちゃけてくんないし……』


『…………』


『ごめん、トシミちゃんにこんなこと言うのはおかしいよね。でも誰にも相談できなくてテンパってて、俺。

トシミちゃん、高校の時、あの阿部ちゃんを変えてくれた子だからつい……。ってか阿部ちゃんと何で別れちゃっ……』


『クサマくん! 阿部くん住んでるとこ知ってる?』


わたしはクサマくんからの問いかけをかき消して、そう聞いていた。


心の中で不安が渦を巻いている。


わたしの選択は間違っていたのかもしれない。

そして、わたしは阿部くんに真実を話していない。


もちろん、クニオとユカチンの願いを聞いてから、ふつふつとこの思いが湧きあがってきた。


――もう一度、彼に会いたい。


そう思った瞬間、ゴトゴトゴトと、目の前で光り輝く銀河鉄道から音が聞こえた、気がした。


それから家に帰り、自分の部屋の押し入れの奥を探って、

あの手紙をわたしは手にした。








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