君と願ったたった一つのもの
君と願ったたった一つのもの
-番外編-

これはある日のお話です。

お母さんはお兄ちゃんと一緒にいていいと言うことを認めてくれました。

だから今は、私の家です。

「そう言えばお兄ちゃん」
「んー⁇」
「お兄ちゃんは、どうやって私たちがきょうだいだって分かったの⁇」
「あれ、言わなかった⁇」
「言ってないよー」
「そか。わりぃわりぃ」

お兄ちゃんは笑いながら私の頭を撫でる

「あのな、あれだよ」

お兄ちゃんはそう言って机の方を指差す

「ん⁇」

机がなに⁇

「あの写真…あれ見て分かった」
「あ、あれ…」

私とお兄ちゃんの写真…。

でもめっちゃ小さい時のだよ⁇

「これ、どう見てもオレだし」

と、笑いながらお兄ちゃんは言う。

「えっ‼︎⁇なんでわかるの‼︎⁇」
「そりゃあ…」
「ん⁇」
「この写真…オレも持ってるもん」

…。

「えっ…ええー‼︎⁇」
「ばっ…声でか…」
「あ、ごめん」
「オレも同じのが机の中にあった。だけどずっと、そこに写ってる女の子が誰か分からなかった」
「そうなんだ…」
「親に聞いてもなにも話してくれなくてさ。だからまぁ…そう言うわけだ」

そっか。

だからあの時…

始めてお兄ちゃんを部屋に入れた時

ずっとこの写真を眺めてたもんね。

「そっか‼︎でもまぁ、スッキリしてよかってねっ‼︎」

お兄ちゃんはいっとき黙って、それからこう言った。

「今は机の上に飾ってあるよ」

と。
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