初めての恋はあなたと。 「その後」を追加しました

「何の話？」

「営業課の江崎課長って知ってるよね？」


え！江崎課長⁉︎

聞き流そうとした決意はどこへやら。
江崎課長の名前に反応した私は、潜められた声を聞き取ろうと、少し体を前へ動かした。


「当たり前よ。で、江崎課長がどうしたの？」

「それが凄い綺麗な女性連れてオシャレなバーに入って行ったんだって！」

「あの一切女性関係の話がなかった江崎課長が？ただの噂でしょ」


綺麗な女性…オシャレなバー…。
いや、江崎課長に限ってそんなことないよね！
ただの噂だよ、きっと！

少し嫌な想像をしたものの、実際見てもないのに信じるのは江崎課長に失礼だ。

頭の中でそう思い込み、自分を奮い立たせる。
そうでもしないと、簡単に崩れ落ちそうだったからだ。

その後女性二人組はしばらく噂だの違うだのと言って給湯室を出て行った。


「はぁー…」


一人になって思わず大きな溜め息をついた。
実際見てないから噂だと言えるけど、言い切れないから余計につらく感じる。

江崎課長に直接聞けたらいいけど、そんなこと絶対無理だ。


あぁー…気分入れ替えようと思って来たのに、入れ替えどころかぐちゃぐちゃになったよ。