君の名を呼んで
俺のモノに手を出すな
これはどういう状況なんでしょうか。


「いや、皇がテレビに噛り付いて見てた時には、大丈夫かコイツって弟の将来を本気で心配したけどなあ。成る程ねぇ、あの白雪姫がこんな可愛く育っちゃってまあ」

私の戸惑いなんて全く異に介さず、ベラベラと喋る帝さん。


「……似てませんね」

「だろう」

私の言葉に頷く皇。


似てない。あらゆる意味で。
帝さんは明るい髪に、見るからに軽そうな雰囲気。
聞いてないことまで、喋る喋る。よく口が回るなあ。
服装も黒づくめの皇とは違って、カラフル。
顔立ちもあまり似ていないけど、こちらもかなりのイケメンだ。
系統が違う、っていうのかな?

でも。

言葉の途切れた瞬間に向けられる鋭い視線はやっぱり皇を思わせて、ちょっとだけドキッとした。


にしても、兄弟揃ってすごい名前。
親御さんの期待も生半可ではなさそう。


「ええと、雪姫ちゃん?」

「はい、帝さん」


私が返事をすれば、彼はニンマリと微笑んだ。
あ、嫌な予感。
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