君の名を呼んで
俺だけを見てろ
次の日、始業ギリギリに出社した私は城ノ内副社長を見ることができず、なるべく彼のそばには寄らなかった。
だけどなんたって直属の上司だ。全く関わらないわけにもいかない。


「雪姫、宣材どこだ」

「はっ、はいっ!えー、あれ?あれれ?」

動揺しすぎ、しすぎよ、雪姫ぃ!!

慌てふためいて、必要以上に忙しく走り回る私に、城ノ内副社長は何か言いたげにしていたけれど。
ついに口を開く。

「おい、お前昨日は」

「ありましたああっ!!」

昨日の話題を出されたくなくて、また逃げるように仕事に没頭する。

なのに。
やっぱり、現実は私を逃がしてはくれない。


「梶原ちゃん、今日は朔について現場行って。城ノ内も一緒だから」

社長がにっこり微笑んでそう言った。
どうやら謹慎は解禁みたい。

「え、あの何で副社長まで?」

チラッと彼を見上げて言えば、本人は不機嫌そうに腕組みをしているし。
真野社長は軽く首を傾けて、教えてくれる。

「今日から年末の特別ドラマの撮りなんだよ。あちらのお偉いさんが来るから、挨拶にね」

「城ノ内副社長じゃ逆効果になりませんか」

「こらテメェ、雪姫」

なるべく普段通りに振る舞ったものの、内心バクバク。
なんでこんなときに!
でもこれも仕事。割り切らなきゃ!!

「じゃあ私は朔を迎えに行きますので。副社長は現地で合流されますか?」

だったらいいな、と期待を込めて聞くものの。

「面倒。一緒に行くから乗せていけ」

えぇ~。

「なんだその嫌そうな顔は」

「すみません、生まれつきです!生まれつき拒否顔なんですぅ!!」


……なんでこうなるの。
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