冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
「茅人さんと私は結婚するはずだったって聞いたけど?」
「んー。瑠依のおじい様の中では決定事項になっていたし、彩也子さんも賛成していたけど、当の茅人が大学時代から付き合っていた日里の存在を無視されてむかついて。
その話が出た翌日には勝手に日里と籍を入れたからあっという間に流れた」
「え? 翌日に籍を入れたの? ……情熱的だね」
「情熱的って、聞こえはいいけど、両親に認めてもらってから結婚したいって言う日里を説得して役所に引っ張って行った強引な入籍だったんだよ。
俺と理美が証人としてサインさせられて」
くくっと笑う紬さんは、当時を思い出したのか肩を揺らしている。
「どこまで日里に惚れているんだって呆れたけど、そのおかげで俺が瑠依の結婚相手に浮上して、一気に見合いがセッティングされたんだから茅人には感謝してる」
紬さんの手が、私のシャツの隙間から入り込み、さわさわと胸のふくらみに触れた。
「つ、紬さん」
慌てて紬さんの手をシャツ越しに掴むけれど、手に力が入らなくて、胸の先端に感じる刺激に声を漏らしそうになる。
「ちょ、ちょっと、まだ聞きたい事が……っん、だ、だめだよ……」
体をよじり、紬さんの腕から逃れようとするけれど、私の動きは既に想定済みだったようで、気付けば私は仰向けに押し倒され、目の前には紬さんの「してやったり顔」。