冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う



だけど、頬の緩み具合を見れば、彩也子さんを大切に思っていることは一目瞭然だ。

結局、結婚に向けて弾みをつけようと踏み出したのは彩也子さん。

まあ、彩也子さんらしいといえばらしいんだけど。

私はそんな二人の様子にふっと息を吐き、肩をすくめた。

「彩也子さん、頼りない父ですが、よろしくお願いします」

「ふふっ。頼りない人っていうのは分かりすぎるほどわかっているから大丈夫よ。
その分私がきっちりと導くから、安心してね」

「あ……はい」

小さな頃から見慣れている、彩也子さんの自信に満ちた笑顔に気圧されるように、私は頷いた。

彩也子さん……。

ぎゅっと、紬さんの手を握りしめた。

すると、私の気持ちを察してくれたのか、紬さんが強い力で握り返してくれる。

そのことだけで、ほっと、安心する。

「俺が、いるだろ?」

耳元に囁かれた言葉に、私はこくこくと頷いた。


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