やさしい手のひら・後編
嫉妬
仕事が手につかなかった

今までこんなことなんてなかったのに・・・

健太の結婚のことばかり考えている

嘘なのか本当なのか真実を知りたい

嘘であってほしい

噂であってほしい

自分と健太が結婚するなんて未来には存在しないけど、佐原樹里とだけは嫌だった

佐原樹里だけはどうしても許せなかった

それは嫉妬なのかもしれない

私のない物を持っていて、私の欲しい物を持っている

表と裏の顔があるのにドラマに出演すれば視聴率が上がる

すべてがうまく行き、すべてのことを成功させている。そんな佐原樹里は私の愛しい人を手に入れた

最後に会った日、健太は「あいつの気持ちが重い」そう言っていた

それがどういうことなのかわからない

それでも今も一緒にいるということは、それなりにうまくいっているんだろう・・・

それなのに私はいつになっても気持ちが揺らぐ

新くんのこと、ちゃんと好きなのに健太のことになると心臓が痛む

忘れたいのに忘れてくれない健太の笑顔

あの顔が私の目の前をうろちょろする

未練がましいのにもほどがある

健太が結婚したら・・・やっと吹っ切れるのかな・・・

私は幼稚園の帰り、本当のことを知りたくて本屋に来ていた




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