夏恋
「裕也~、今日もサッカー?」
「ん?ああ」
昼休み。裕也は彼女である隣のクラスの舞と弁当を屋上で食べていた。
「裕也さ~、サッカーばっかでデートなんてしたことないじゃん」
「ごめんな。だから弁当は一緒に食べてんじゃん」
その言葉で舞の表情が変わった。
「何それ? まるで一緒に食べてあげてるみたいな言い方?最っ低!!」
そういうと舞は途中の弁当を片づけ、立ち上がった。
「裕也、あなたのサッカーへの思いはすごいのは分かったけど、私には無理。じゃあね」
そういうと舞は屋内へ消えた…。
またか…。裕也は寝転がる。何度も同じフレーズを聞いたな。裕也は実際モテた。なのに、裕也はいつもサッカーと彼女の間で苦しみ、最終的に彼女が煩わしくなってしまう。本当に好きだったのに。 目の前には青空が広がり、大きな雲が気持ちよさそうに泳いでいる。ふと裕也は彩を思い浮かべた。最近は思い出すこと自体が珍しかった。彩ちゃん、今頃何してるかなぁ? もしかしたら同じ雲を見てるかもしれない。 彩を思い浮かべてみるが、高校生の彩がどうしても想像できなくて裕也はため息をわざとらしく吐き出した。
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