キスはワインセラーに隠れて


厄介なこと……?

私が目を瞬かせると、須賀さんは私の頭にそっと手を置く。


「今日は、時間あるか? 昨日の埋め合わせがしたいんだが」

「あ……はい、大丈夫、です」


そういえば、昨日“話がある”って言われていたんだっけ。

そのあとで、ワケありっぽい女性客がきて、その約束が延びて……

もしも今夜暇ならまた藤原さんの様子でも見に行こうかと思ってたけど、ゆうべよく眠れていたみたいだったし、食べるものは昨日置いて行ったし、大丈夫だよね。


「じゃあ、またあとでな。“厄介ごと”の内容も、その時に話す」

「……わかりました」


先に階段を上がっていく須賀さんの足音を聞きながら、私はなんだかざわざわと胸騒ぎがしていた。

さっき、彼はオーナーと二人で話していた。

他の従業員があまり寄り付かないワインセラーで。

それに、“藤原は風邪で休んでる場合じゃない”――って台詞から推測すると、その厄介ごとに藤原さんも関係しているような気がしてならない。


なんだろう……

私の思い過ごしならいいんだけど……


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